和室を洋室にリフォーム!メリットは?費用はどれくらいかかる?
2023/07/04
ひと昔前の間取りと言えば、「3LDKのうちの一室が和室」ということも少なくありませんでした。
日本人の暮らしに欠かせなかった和室。フローリングと違って冬でもヒヤッとしにくく、柔らかな畳の手触りがくつろぎにピッタリでしたが、生活スタイルが洋風に変化していく中で、家具が置きにくかったり、居室として使いにくかったりといったデメリットも目立つようになってきました。
また、フローリングに比べて畳はメンテナンスの頻度も高くなる場合が多く、放っておくとい草のほつれや落ちない染みなどで、汚れて見えてしまう・実際以上に古く感じてしまうというケースが非常に多いです。
和室には和室の良さもあり、近年は見直されている傾向もありますが、リフォームにおいては和室を使いやすい洋室にしたい、という方も非常に多く存在します。
今回は、和室を洋室にリフォームすることでどんなメリットがあるのか、またそれにかかる費用について、リフォーム施工会社の視点から解説します。
目次
和室を洋室にリフォームするメリット
お手入れが楽になる
冒頭でも述べましたが、和室の畳はフローリングなどに比べて傷みやすく、また液体などをこぼした染みなども落としにくいもの。吸湿性が高く、お部屋の湿度を抑えてくれる効果がある反面、水分を吸い込むことでカビやダニの発生リスクもあり、定期的にメンテナンスをしないと見た目だけでなく健康への害が及ぶ可能性すらあります。
このように、日々のお手入れの大変さや、メンテナンスにかかるコストの心配がある畳に比べて、フローリングは基本的に張り替えなどの必要がなく、汚れもさっと拭き取れるので、圧倒的にフローリングの方がお手軽です。
また畳だけでなく、紙製のふすまなども破れや汚れなど経年劣化の対象となるので、和室は気に掛ける部分が洋室に比べてはるかに多いと言えるでしょう。
家具などを置きやすい
重さのある家具を置く場合、畳の上だと跡や凹みが発生する場合があります。特に足付きの家具は重量が集中してしまうため、深く凹んで戻らなくなってしまうということはよくあります。ベッドなどを置くのも現実的ではないでしょう。洋室のフローリングであれば、そういった心配はほとんど必要ありません。
いま販売されている家具は、ほとんどが洋室に置くことを想定したもので、デザインも洋風のものが大半。特に、イケアに代表されるような、安価でデザイン性に優れた海外家具メーカーが台頭するにつれ、和室に合わせる家具というのは、選択肢が少なく、しかも高価なものがほとんどとなっています。
和室にこだわりがあるのであればともかく、そうでないなら、和室を洋室にすることで家具の選択肢ははるかに多くなりますし、家具を置くことで発生する床の傷なども、そこまで気にする必要はなくなります。
和室から洋室へのリフォームはどのくらいの費用がかかる?
畳からフローリングへの張替
畳からフローリングへの張替は、部屋の広さやフローリングの種類によって大きく変動するので、一概にいくらくらいかかると言い切るのは難しいですが、一般的な4~6帖程度の部屋の場合、少なく見積もって10万円前後、場合によっては30万円を超える場合もあります。
フローリングは畳より薄いものなので、単に張り替えるだけでは他の部屋と高さが変わり、不要な段差などが生まれます。なので、ほとんどの場合は畳を剥がした下地から調整する工事をする必要があります。
ただし、畳を新しい畳に取り換える場合でも、やはり10万円程度はかかるケースが多くなります。畳はおよそ10年から15年くらいが張り替えの頻度と言われていますので、メンテナンスの頻度が畳より少ないフローリングへの変更は、費用的に見ればお得になる場合もあります。
フローリングにも様々な種類があり、削り出した木をそのまま使った天然木100%の「無垢フローリング」は、その高級感のある見た目と、同じものは二つとない木目の味わいが魅力ですが、天然の木ゆえに傷つきやすかったり、湿度や熱によって膨張・伸縮が起こったり扱いが難しく、なにより値段も高価になります。
合板に化粧パネルを貼った人工的な「複合フローリング」であれば、傷や変形に強く、高品質でありながら価格も無垢材より抑えられます。遮音材などを挟み込むことで、足音の軽減なども期待できます。
より安価な施工として、クッションフロアと呼ばれるビニル製のシートを張るものも存在します。耐水性が高いため、キッチンやトイレなどの水廻りに採用されることが多いですが、フローリングの代わりに居室に使用することもできます。安価ゆえに傷がついても張り替え費用が抑えられる他、デザインの選択肢も幅広く、本物さながらの木目をプリントしたものから、個性的なパターンを持つものまで様々です。
押入やふすまの変更
和室と言えば、ふすまを使用した出入り口や押入。リフォームに際しては、これらも洋室に合ったものに変更する必要があります。
畳んだ布団などを収納する意味合いが強い押入は、中央の仕切りで大きく2段に区切られていることが多いですが、クローゼットに転換する上ではこういった仕切りは不要になることが多いです。なので、これを取り除く工事と、代わりにハンガーパイプなどを取り付ける工事が必要になります。また、部屋の一部を使ってさらに広いウォークインクローゼットを作る施工もあります。壁を動かす必要があるなど、少々大がかりではありますが、せっかくリフォームするなら広い目で見直すのもひとつです。費用は工事規模によって様々です。
また、近年はクローゼットを折戸で覆う他に、あえて扉を設けずオープンクローゼットを希望される方も多くなっている印象です。クローゼット扉は大きさによって3万円から8万円程度で販売されていますが、オープン化することでこれらを節約することができます。
ふすまを洋室用の建具に変更する場合、そのまま引き戸に変更するのがイチバン手軽で安上がりになります。扉自体の価格としては、安いものは一枚3万円から購入できます。枠をそのまま使用できるのであればそれで済みますが、枠を交換する場合は10万円~20万円程度かかる場合があります。
リフォーム総額は20~100万円まで様々
どの程度までのリフォームを見込むかによって予算は大きく変わります。
それほど大きくない和室の畳を、安価な複合フローリングやクッションフロアに張り替える程度であれば、20万円程度で済む場合もあります。壁や天井、収納や扉などの建具までフルで見直すのであれば50万円、さらにこだわってリフォームする場合、一部屋に100万円近くかけてリフォームされるお客様もいらっしゃいます。
実際には和室だけをリフォームする、というお客様はそれほど多くなく、リビングや水廻りなどと合わせて見直す方がほとんどですので、一概にこの部分にこれだけかけたという数字を出すのはなかなか難しいのですが、この記事では「多く見積もって」の数字を掲載しています。扉などの建具も定価より安く入手できる場合がありますので、予算オーバーだなぁ、と思っても一度ご相談いただけましたら、お客様の予算に合わせたプランを設計士がご提案いたします。